エコドッグ

ショートショート作品
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 私は靴を履いてから口笛を吹いた。

 三匹のエコドッグがトコトコと寄ってくる。

 今日は……一番小さいマルでいいか。

「おいで」

 私はマルに声をかけた。

 マルは私の後をトコトコとついてくる。

 エコドッグはエコバックの姿をした犬である。

 昔、ある生物学者が白いビニール袋を犬と見間違えたことから開発されたらしい。

 便利な時代になったなぁ。

 スーパーについて、私は買い物をすませ、中身をマルに入れた。

 マルは果物やお肉などを入れたままトコトコと歩き出す。

 マルがいてくれるおかげで、毎日の買い物が苦ではなくなった。

 前までは自分で買ったものを運んでいたので毎日憂鬱だったのだ。

 エコドッグはちゃんとしつけをしないと中に入れたもので悪さをする。

 例えば、飲み物で粗相をしてしまったりするのだが、うちの子たちはみんなちゃんとしつけをしてあるから平気だ。

 マルと一緒に家に帰った私はマルの中から食材などを取り出して、マルと他の二匹を散歩に連れ出した。

 普通の犬と一緒で、この子たちにも散歩をさせたり餌をやったりする必要がある。

 餌をやらないと中に入れた食材を勝手に食べてしまうからだ。

 エコドッグの場合、散歩と餌やりは一度に済ませることができるから楽だ。

 散歩といっても、自由気ままに歩かせるだけだし。

 そう、エコドッグに食べさせる餌は、たくさんの道草なのである。

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