読み聞かせワイン

ショートショート作品
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 友だちの家に行くと、友だちがワインを取り出した。

「これは面白いワインでさ」

 友だちはこんな話を始めた。

 先日、友だちはワイン好きの知り合いの家に行ったらしい。

 すると、本がたくさん本棚に置いてあったそうだ。

 その本はなぜか開いて置いてあって、その奥に一本ずつワインが並んでいたらしい。

 友だちが「これはなんですか」と聞くと、その知り合いはこう説明したそうだ。

「それは読み聞かせワインだよ。本の内容を読ませているんだ。たまにページをめくって本の内容を読ませると、青春小説の場合、ワインが甘酸っぱい味になったり、深い感動のある小説の場合は深い味になったりするんだよ。何本かあげるから、色々試してみるといい」

 それで知り合いからワインをもらって帰ってきた友だちは、家にある漫画を読ませてみることにした。

 その漫画は不良漫画だった。

 一体どんな味になるのだろう。

「さぁ、開けてみよう」

 僕は友だちの開けたワインを一口飲んだ。

 特に変わった味はしないようだが。

 友だちを見ると、友だちも首をかしげている。

 友だちは落胆した様子で言った。

「なんだ〜これぇ。全然普通じゃんか」

「まぁ、普通にうまいけどね」

「うまくねぇよ! おまえはワインの味がわかんねぇんだな」

「なんだと!?」

 あやうく喧嘩になりかけたところで、僕たちは気がついた。

 そうか。

 このワインは、ワル酔いするワインなんだ。

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