仮病幽霊派遣

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 仮病でズル休みをするいい方法を見つけた。

 幽霊を派遣してもらうのである。

 幽霊専門の派遣会社があるらしい。

 私はさっそく幽霊の派遣をお願いした。

 ”稲田さん”という幽霊がやってきてくれるらしい。

 とりあえず出勤した私は、会社で幽霊の到来を待った。

 すると、突然ぞくりと来た。

 あ、これは幽霊がやってきたなと思ったが、自分からは何も言わない。

 すると、隣の席の先輩が「顔色悪いよ?」と言ってくれた。

「なんだか、ちょっとだけ熱っぽいみたいで」

「え!? じゃあ休まなきゃダメだよ」

 こうして私は見事早退することができた。当然、ぞくりと来たのは幽霊の仕業なので熱などない。

 やったぁ!

 私は幽霊の稲田さんに感謝した。

 こうして私は折りに触れ稲田さんを呼び出し、ズル休みをした。

 あぁ、今日は嫌な会議がある。今日も稲田さんにお願いしよう。

 私が派遣会社に連絡をすると、係の人が言った。

「すみません。実は稲田さんはおやすみでして……」

「今日もですか。最近多いですね」

「えぇ。ちょっとお腹が痛いとかで……」

 それを聞いて、もしや稲田さんも仮病を使っているのでは? なんて思った。

 まぁ稲田さんも仕事が嫌な時はあるよな。

 私は仕方なく会議に参加したのだった。

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