ショートショート作品 麻酔同窓会 神崎から同窓会の手紙が届いた。 正直「あいつが?」と思った。 神崎は小学生の頃仲が良かった友達だけれど、同窓会を主催するようなタイプではない。 どちらかというと、物静かな秀才タイプというか。 そして、この同窓会の手紙がこれまた、変わ... 2020.03.07 ショートショート作品
ショートショート作品 赤ペンを担いだ猫 ある大雨の日だった。 我が家に赤ペンを担いだ猫がやってきた。 ピンポーンと音がしたので玄関の扉を開けてみると、黄色い雨合羽を着た猫が立っていたのだ。 雨合羽の帽子をすっぽりかぶった、茶トラの猫。 「... 2020.02.22 ショートショート作品
ショートショート作品 線香寺 近所に「線香寺(せんこうじ)」というお寺がある。 このお寺では、ある年に一風変わったカウントダウンが行われる。 今年はそのカウントダウンが行われる年だ。 線香寺には「線火楼(せんびろう)」という場... 2020.02.22 ショートショート作品
ショートショート作品 浮き輪国 浮き輪国の紳士に出会ったのは、僕が無人島で遭難していた時のことである。 一人で島巡りをしていたところ、船が突然大破。 なんとか流れ着いた無人島で「これまでか」と途方に暮れていると、海岸の近くに大きな浮き輪と紳士が現れた。 紳士は直径十... 2020.02.15 ショートショート作品
ショートショート作品 フクロウ貯金 「貯金できない男の人は嫌い」 それが直近のフラれ文句だ。 そうとも。俺は貯金ができない。 会社から給料が振り込まれれば一ヶ月の間に全て使ってしまう。 若い頃にはそれが「豪快でいい」「若者らしい」とプラスのイメージにつながることもあっ... 2020.02.08 ショートショート作品
ショートショート作品 山火の男 山小屋までの時間を見誤り、すっかり日が暮れてしまった。 真っ暗な山道をヘッドライトの明かりを頼りに歩く。 と、近くで明かりがぽぉっと灯るのが見えた。 山小屋とは方角が違うようだが。 なんだろうと思い、明かりが灯った方向に... 2020.02.01 ショートショート作品
ショートショート作品 ふたりの浜辺 夫の荷物を整理していると、一枚の封筒が出てきた。 真新しい封筒の中に一枚の写真が入っている。 それは浜辺を映した写真だった。 家の中が少し落ち着いた頃、私はあの浜辺にやってきた。 写... 2020.01.25 ショートショート作品
ショートショート作品 オブラートに包まれた私 最近、なんだか辛いなと思うことが多くなってきた。 テレビをつければ嫌なニュース、SNSを覗けば誰かが炎上してる。 見なければいい、聞かなければいいという意見も分かるのだけれど、どうしても気になってしまうし、触れないようにしていてもそうい... 2020.01.18 ショートショート作品
ショートショート作品 おじさんはシャボン玉名人 私はおじさんのことがとても好きでした。 実家のすぐ近くに住んでいたおじさんはシャボン玉名人で、普通とは違うシャボン玉をたくさん教えてくれました。 いつもシャボン玉遊びをする神社の境内にやってくると、おじさんはシャボン玉液の配合を始めまし... 2020.01.11 ショートショート作品
ショートショート作品 タッタッタ いつからか"タッタッタ"という音が聞こえるようになった。 誰かが後ろから近づいてくる音。 タッタッタという音がすると首の後ろがゾクゾクと震える。 だからその音がすると僕はいつも後ろを振り返る。 振り返ると足音は止まる。 タッタッタ... 2020.01.04 ショートショート作品