私は今、一人山を歩いている。
この山のあるこの町では最近行方不明者が続出している。
私はその捜査員としてこの山を捜査しているのだった、
行方不明者の数はこの一週間で二十人にものぼっているが、誰一人としてまだ見つかっていない。
どう考えても異常事態であった。
と、どこかから風に乗って良い匂いが漂ってきた。
秋の味覚であるキノコを焼いているような、いい匂い。
どこかに小屋でもあるのだろうか。
聞き込みをしてみようと私は匂いのする方へ歩き出した。
足が重い。このところ捜査続きでまともに休養を取っていない私ははっきりとした疲労を感じていた。
思わずぼんやりとしてしまいながら歩き続けると、いつの間にか洞窟の中にたどり着いていた。
匂いは奥の方から漂ってくる。
懐中電灯を……と懐を探ろうと思った瞬間、背後で洞窟の入り口が崩落する音が聞こえた。
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