私は小説家である。
私は「妄想風呂」を愛用していた。
元来、風呂に入ると妄想が捗るものだが、より深く妄想にひたれる入浴剤があるのだ。
しかし、その入浴剤が販売停止になってしまった。
妄想が捗りすぎて、湯当たりする人が続出したから、らしい。
私は非常に残念に思ったが、代わりに「妄想布団」という新商品が発売された。
妄想にふけることができる布団。
妄想が捗りすぎるので眠ることができないというヘンテコな布団だが、私にとっては最高の布団だった。
一度布団に横になれば次から次へとアイデアが溢れてくる。
私は布団の周りに食べ物や飲み物を設置して、ノートパソコンも置いた。
そうして、思いついたアイデアを片っ端から原稿に書き上げていく。
できたものから編集者へ送ると、編集者も原稿を絶賛してくれた。
***
刑事が二人、現場で話をしている。
「ガイシャの職業は?」
「小説家だそうです」
「何だって布団で餓死なんてしてるんだ」
「それが、このガイシャが寝ている布団、回収騒ぎになっている”妄想布団”というもので。ガイシャはどうやら、食事をしていると”妄想”した結果、餓死したようです」
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