ある国で、ある恐ろしい現象が起こった。
ある特定の時期にある特定の場所にいると、自分の意志とは関係なく信じられないほど豪遊をしてしまうのである。
謎の経済活動が局地的に発生し、お金を持っている人もそうでない人も全財産を使い切る勢いで豪遊してしまう。
その国ではこの現象について「ゲリラ豪遊」と名付け、その原因を追求するために経済学者が大勢集められた。
しかしその原因は中々判明しなかった。
そんなある日、経済学者たちが集まる研究所で一人の若い経済学者がこう叫んだ。
「ゲリラ豪遊の原因が分かったぞ!」
すると、その声に呼応するように研究所の隅から「俺も分かった!」と声が上がった。
その声に対し「俺なんか対処法まで分かったぞ!」と誰かが叫ぶ。
声を上げた経済学者もそうでない経済学者もみんな研究所の所長室に走った。
経済学者たちはめいめい所長に向かってあーでもないこーでもないと訴えかけたが、所長はそれを制して言った。
「君たちが来る前にもうゲリラ豪遊の原因は分かっていた。私は君たちを試したのだよ!」
そんな所長の言葉に対し、一人の経済学者が「その所長の目論見も私は分かっていました」と返す。
所長は「なにぃ!?」と叫んで「私はそれすらも見通していたよ」と誇らしげに語った。
彼らは気がついていないのだ。
彼らは現在の自分の力量を超えた、大きなことを言ってしまっていることに。
彼らはゲリラ豪遊の原因を解明するどころか、新たな怪現象「ゲリラ豪語」の餌食となっていることに。
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