私は海面ソファの伝説を調査していた。
海面を漂っているソファの噂。
そのソファにはガイコツが座っているらしい。
なんでもそのガイコツは資産家だった男で当時としてはオーパーツに近い様々な発明をさせていたらしい。
その一つに海面を走るソファがあったのだ。
資産家はそのソファに座って海面を漂いながら亡くなった。そんな噂である。
資産家は財宝を身に着けたまま亡くなったらしい。
私はその財宝を目当てに海面のソファを探していた。
そしてとうとう私は海面のソファを見つけ出した。
ソファは一人掛けのソファで海面をゆっくりと移動していた。
ガイコツが座っているのも噂通りである。
私は小型船を操舵し、慎重にソファへ近づいた。
そして手が触れられそうなくらい近くまでくると海に飛び込み、ソファに触れた。
するとその途端、ソファの上のガイコツがぼろりと崩れ落ちた。
ガイコツがいなくなった後、ソファの上を探してみたが、財宝などどこにもなかった。
意気消沈した私が帰ろうとすると、問題が起こった。
ソファから離れられないのだ。
まるで吸い付かれるように、ソファから体を離すことが出来ない。
そしてソファは私を上に載せたまま海中へと潜った。
それから長い長い時間が流れて。
ついに私の元へ一人の男がやってきた。
その男はダイバースーツと酸素ボンベを身に着けて私の前に漂った。
私にはどんな伝説が囁かれていたのだろうか?
私の前にソファに座っていた男は資産家などではなかった。
あの男はただこのソファに囚われていただけなのだ。
酸素ボンベをつけた男がソファに手を触れる。
あぁ、ようやく私は解放される。
骨だけになった私の体はゆらりと海底に横たわった。
ソファは酸素ボンベの男を載せてぐんぐんと海中を上昇していく。
今度はどこへ行くのだろう。
また海面に戻るのだろうか。
それとも、海面、海中と来たから次は……海上かもしれない。
空中に浮かぶソファ。
そんな伝説が人々を魅了するだろう。
私にはもはや関係のないことではあるが……。
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