僕にはお金がなかった。
だから僕は彼女に宝石のついていない指輪を渡した。
「その指輪越しに星を見て。それが宝石の代わり」
そんな僕の苦し紛れのプロポーズを彼女は喜んでくれた。
それから僕たちはいつも二人で指輪越しの星を見ていた。
そんな彼女があの遠い星の向こうに行ってしまった。
僕は一人、夜空を見上げた。
***
地球から遠く離れたある星で。
「何をしてるの?」
そう聞かれた彼女は「ほら、こうすると綺麗でしょ」と指につけている指輪を見せた。
何もついていない指輪には、透き通るような青い宝石が光っていた。
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