散歩に出かけると、森に迷い込んでしまった。
無理もない、このあたりは土地勘がないからなぁ。
それにしても、同じような木ばかりで方向感覚が掴めない。
GPSを使うしかないか。
そんな風に思っていた時、一本の木がまばゆい光を放った。
なんだろう、と思っていると、その木がぱかりと割れて、中から宇宙人が出てきた。
「ひええ!?」
思わずそんな叫び声をあげてしまう。
宇宙人が熱心にこちらに話しかけてくるが、何を言っているのかは分からない。分からないが、どうやら悪いやつではなさそうである。
宇宙人が握手を求めてきたので応じると、宇宙人は満足したように木の中へ戻っていった。
そして木がまたまばゆい光を放ち、ドドド、と大きな音を立てて飛び去っていった。
あれはロケットだったのか。
我々が知らないだけで、あんな感じでたくさんの何かのうち一つに宇宙人が紛れ込んでいるなんてこともあるのかもなぁと思いながら、帰った。
倉庫に帰り着いた。
そこにはじっと物も言わず、数百人がただ立っている。
ぽかりと空いているところに、僕は立った。
すると、横の個体が僕をこずいてくる。
スリープから覚ましてしまったのだろうか。
「おまえ、ドコ言ってたんだよ」
「散歩だよ」
「ったく気をつけろ」
「はいはい」
横の個体が再び黙る。
精巧に作られ、同じ顔をしたアンドロイドである僕たちの存在も、先ほどの宇宙人と同じようにまだ誰にも知られていないのだろう。
僕と同じ顔をしたアンドロイドの一体に宇宙人が紛れ込んでいて、ロケットみたいに飛んでいったら面白そうだなぁとちょっと笑った。
それから僕は、疲れたのでスリープモードに切り替えて、眠ったのだった。
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