ある日、まったくの偶然でまったく新しい皿が焼けた。
焼き上がった皿に塗料を塗っていたら、皿から「ふふ」と人間の声のようなものが聞こえたのである。
普通、皿はキュッと鳴るが、この皿は「ふふ」と鳴る。
試しに売り出してみたところ、大ヒット商品になった。
子どもに皿洗いを手伝わせる時にいい、というのだ。
「お皿が笑うまで洗おうね」なんて言いながら一緒に洗うらしい。
私はこの皿を「うふふ皿」と名付け、たくさん作った。
焼き上がった皿は出荷までの間、地下室に置いておくことにした。
ある日の夜中。
どこからか「うふふ」「うふふ」と女の笑い声が聞こえてきた。
まさか、と思い地下に行ってみる。
当たり前だが誰もいない。
地震でもあって皿同士がこすれあったのだろうか?
寝室に戻って調べてみたが、このあたりで地震があった、という情報はどこにもあがっていなかった。
不気味だな、と思いながらその日は眠りについた。
それから数日後。
うふふ皿の返品が相次いだ。
その理由は以下のようなものだった。
「夜中に皿が勝手に笑っていて不気味」
「一枚割れた時に、ぎゃーーー! と悲鳴をあげたので怖くなった」
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