ある学者が世紀の発見をした。
”時計細胞”なるものを発見したのである。
幼い頃は一日を長く感じ、大人になると短く感じるが、それはこの”時計細胞”が引き起こしている錯覚らしい。
これまでは、大人になるにつれて知識が増えることで、見知ったものが増えて新鮮な気持ちを抱く機会が減るので一日を短く感じると考えられていたが、どうやらそうではなく、この”時計細胞”が増えるからそう感じられるらしい。
まもなく、時計細胞を壊す薬が開発された。
その薬を飲むと、一日が昔のように長くなると評判になった。
しかし、思わぬ事件が起きた。
時間を長く感じるようになった人間の体が、どんどん老化し始めたのである。
薬を飲み、時計細胞を壊したことで、脳が長い時間を過ごしていると勘違いし、老化が進んだのである。
子供が急激に大きくなるのは、脳が長い時間を過ごしていると感じているからだったのだ。
時計細胞は、体の成長を止める必要がある大人には必要な細胞だったのである。
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