経理部の部長を務める私は会社の財政再建のために、ある探偵を雇った。
彼はすぐにやってきた。まだ若い。
敏腕の探偵、というよりは若手の社員のようだ。
彼は”経費探偵”と呼ばれる探偵である。
「さっそくお願いします」
私は経費探偵に社内をめぐってもらった。
彼は無駄な経費を見つけ出す天才なのだ。
経費探偵に無駄な経費を見つけてもらい、削減する。
地道に活動を続けた結果、会社の経営は少しずつ上向いていき、ついに目標としていた黒字転換を達成した。
私は経費探偵にお礼を言った。
「本当に、ありがとうございます!」
すると、彼はこう答えた。
「まだ削減すべき経費が残っています」
「え?」
「私への依頼料ですよ」
経費探偵はそう言って、オフィス街へと消えていった。
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