悔恨万年筆

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 嫌なことがあった。

 ここ最近すごく重なっている。

 嫌なことがあった時は紙に書いてしまえばいい。

 書くとなぜかすっきるする。

 私は嫌なことを書くために万年筆を買っていた。

 嫌なことがあった時に使う万年筆だそうだ。

 万年筆を構えてぐわーーっと嫌なことを書き連ねた。

 書いて書いて書いて、最終的にはインクが無くなってもガリガリガリと書き続けた。

 全てを書き終える頃には気持ちがすっきりしていた。

 一年後。

 また嫌なことが重なった。

 ここ最近すごく重なるのだ。

 私はまた嫌なことを紙に書くことにした。

 例の万年筆のそばに去年書いた嫌なことの紙があったので見てみる。

 おおむね今と同じようなことが書いてある。

 そして最後の方はインクがなくなったのか、書き跡だけが残っている。

 鉛筆を取り出し、斜線で塗ってその跡に何が書いてあったのかあぶりだしてみる。

 そこにはこんなことが書いてあった。

「もっとインクを買っておけばよかった」

 なんだ、私もちゃんと成長してるじゃん!

 私はたくさん買い込んでおいたインクを設置してから、一心不乱に嫌なことを書き始めた。

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