鏡面の池

ショートショート作品
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 大学の同級生である女の子が、面白い池を見つけたから一緒に行こうよと僕を誘った。

 彼女の話では、こんな不思議な池なのだそうだ。

 ある日、彼女はぶらぶらと散歩をしている時に池を見つけた。

 そして彼女はなんとなく池に映る自分の顔を見た。

 すると、彼女はすごく不満そうな顔をしていたらしい。

 実際にはそんな顔をしていないのに、池に映っている顔だけがそんな顔をしている。

 なんだろうなと思い、ゆっくりと考えてみたところ、気づかないうちに自分の中で色々なわがたまりが溜まっていたことに気づいたという。

 彼女はそれから何度か池に行ってみた。

 池に映る自分の顔が怒っているような顔をしている時は、決まってストレスが溜まっていたのだとか。

 
 僕はその不思議な池に彼女と一緒に行ってみることにした。

 池についてさっそく自分の顔を池に映してみる。

 池に映った僕の顔はなんだかげっそりとしていた。

「疲れてるみたいだねぇ」

 女の子が困ったような笑顔で言う。

「よし、気晴らしに遊びに行こう!」

 彼女は僕の手を引いた。

 彼女と遊んだ翌日に二人でもう一度池に行くと、ちょっとだけ元気を取り戻したような僕の顔がそこにあった。

 そしてそれは、彼女との日々を過ごすうちに笑顔に変わっていった。

 そうなってからようやく、僕はとぼけたようなタイミングで彼女に告白した。

 告白はきっとうまく行くはずだ、と僕は思った。

 あの池に行く時、池に反射する彼女の顔はいつも笑っていた。

「私でよければ、お願いします」

 彼女はあの池に反射した笑顔と同じ笑顔でそう返事をしてくれた。

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