「お二人は微妙なんですよねぇ。追試受けますか?」
目の前に立っている天使が言う。
僕とおじさんは高速で頷いた。
僕たち二人は、どうやら天国に行けるか微妙なところだったらしい。
おじさんと二人並んで机の前に座り、試験を受ける。
“こういう場合、どうしたらいいでしょうか?”
そんな問題文が書かれている。
同じマンションに住む住人が停めている車のライトがつきっぱなしであることに気づいた時……?
どうしたらいいのだろう。
教えてあげるのが一番なのだろうが、そう素直に書けばいいのだろうか。
あまりいい子ちゃんな解答でもよくないかも。
いや、そういうことを考える時点でダメだ!
そんな葛藤をしつつ、僕はなんとか試験を受け終えた。
天使が言った。
「点数は二人とも86点です。それで、あなた、合格です」
天使が僕を指差して言う。
「しかし、あなた、落第です」
天使はおじさんに言った。
同じ点数なのにどうして!?
天使が言った。
「あなた、彼の答案をカンニングしてたでしょう」
僕は天使に連れられて天国の扉の前に立った。
天使がおじさんに「まぁ、来年また追試ありますから」と言っている。
留年みたいなシステムなんだな、と思いながら、僕は天国の扉を開けた。
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