うがい祈願というものを友だちから聞いて知った。
友だちはこんな風に説明した。
「うがいをしながら願いごとを言うの。そうすると願い事が叶うらしいよ。ただし、願い事を言ったあと、間違っても飲み込んじゃダメだよ。それと逆のことが起きちゃうから」
なんだそりゃ、と思いつつ、私はその話を同棲中の彼にも話した。
「へぇ、面白そう」
彼はそんなことを言ってさっそくうがい祈願を試していた。
「何をお願いしたの？」
と聞いても「話したら叶わなくなりそうだから」と教えてくれなかった。
物は試し、私もやってみようかなぁなんて思ったけれど、肝心の願い事が思いつかなかった。
一週間後、私はようやく願い事を決めた。
水を口に含み、がらがらがらとうがいをしながら願い事を言う。
「もっといい人が見つかりますように」
と、その瞬間、彼が叫んだ。
私はその叫び声に驚いて水を飲み込んでしまった。
「ちょっと！」
私が怒ると、その声に被せるようにして彼が言った。
「当たったんだよ！ うがい祈願で、宝くじが当たりますようにって願ったんだけど、一等が当たったんだ！」
私はごくりとつばを飲み込んだ。
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