派遣ダイエット

ショートショート作品
スポンサーリンク

 いい加減ダイエットをしなくては、と思った僕は、「派遣ダイエット」というサービスを利用してみることにした。

 このサービスは、ダイエットの見本を見せてもらうサービスなのである。

 僕のところに派遣されてきたダイエッターさんは、僕とほとんど同じ体重で、僕と同い年だった。

 これから、この派遣されてきたダイエッターさんと一緒に生活をする。

 僕が普通に今まで通りの食事をしている一方で、ダイエッターさんは必要最低限しか食べなかった。

 そして暇さえあれば運動している。

 僕が仕事をしている時間帯は運動をしていない。

 体重が変わらない僕を尻目に、ダイエッターさんはみるみる痩せていった。

 そんな姿を見て、僕も触発され、食事を絞ることにした。

 ダイエッターさんと同じ時間だけ運動もした。

 すると、僕は順調に痩せていった。

 サービス終了時には、僕は理想の体重まで痩せることができた。

 僕はダイエッターさんにお礼を言った。

「ありがとうございます。あなたが出来ているんだから僕にもできる、と頑張ることができました」

「こちらこそありがとうございます。この仕事をしていて一番嬉しいのは、そういうお言葉をいただけることです。しかし辛いのもここからなんですよ」

「え?」

「次の仕事の準備です。ダイエットをすると胃が小さくなりますからね。私も人の力を借りているのです」

 ダイエッターさんはそう言うと、大食いの動画を見ながら山盛りの揚げ物を食べ始めた。

コメント

タイトルとURLをコピーしました