水中DJ

　今日も僕は海にもぐる。

　以前、ダイビングをした時に発見した場所に向かう。

　水中で使えるターンテーブルやスピーカーを特注し、僕は水中DJとしてこの海で活動している。

　僕が音楽を鳴らすと、たくさんの魚が集まってきて踊りだした。

　ここはもしかしたら、昔、竜宮城だったのかもしれない。

　そんな不思議な空間だ。

　まるでステージのように、海にぽっかりとした空間があいているのである。

　魚たちが僕を中心に輪を作り、踊っている。

　まさかこんなところに僕の活躍の場があったなんて。

　僕の作る音楽で楽しんでくれる存在がいる限り、僕はここで音楽を作り続けたい。

　と、その時、大きな網が上から降ってきて、僕は魚たちと一緒に捕まってしまった。

　僕は必死に網を掴み、なんとかそれを切ることで、魚たちを助けることができた。

　魚たちは蜘蛛の子を散らすように泳ぎ去った。

　僕のせいで、たくさんの魚を危険にさらしてしまった。

　もう、あそこに行くのはやめよう。

　僕は砂浜で特注のターンテーブルやスピーカーを壊した。

　危うく僕は、魚たちにとんでもないことをしてしまうところだった。

　ちゃぽん、と海から音がした。

　海中から、亀が顔を覗かせている。

　なんだろう、ついてこいと言っているようだが……。