忘れ物を取りに、僕は夜中の学校に向かった。
明日までにやらなければいけない宿題を忘れてきたのだ。
夜の学校って、何でこんなに怖いんだろう。
教室で忘れ物を取った僕は、すぐに帰ろう、と廊下に出た。
と、階段のところで、普段は開いていない防火扉が、ちょっと開いていた。
防災訓練なんかじゃないと開かない扉だ。
僕は防火扉に近づいて、防火扉に触れた。
今なら開けられそうだ。ちょっと、開けてみようかな。
防火扉は僕一人の力でも簡単に開いた。
へぇ、こうなっているんだ。
こうやって火を遮断するんだな。
ひとしきり防火扉を開けたり閉めたりして遊んだ僕は、扉を元に戻して帰ることにした。
と、校庭の方がなんだか騒がしい。
たくさんのパトカーが停まっている。
そっか、僕が防火扉を開けたから、通報されちゃったんだ!
そう思って僕は、バレないように学校から逃げ出そうとしたのだけれど、見つかってしまった。
警察の人に「防火扉で遊んですみません」と謝ったが、警察がやってきたのは、別の理由らしい。
なんでも、学校の中からすさまじい叫び声が聞こえた、と近所の人から通報があったらしい。
僕はそんな叫び声なんて聞いてないのに。
どういうことだろう、と思っていると、一緒に警察と話をしていた警備員さんが、こんなことを教えてくれた。
昔、ここには今と同じように学校が建っていた。
そしてその学校で大きな火災があり、多くの生徒が亡くなったそうだ。
もしかして、僕が防火扉を開いたから、何かが中から出てきて……?
僕は怖くなり、お母さんに学校まで迎えにきてもらって、家に帰った。
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