夜中にインスタントラーメンを食べようと、お湯を注いだ。
しかしそのまま居眠りをしてしまい、起きた時には10分経ってしまっていた。
冷めたし伸びたし美味しくないだろうなぁと思いながら食べたら、なかなかどうして、これがものすごく美味しかった。
そのことをSNSで報告したところ、投稿がバズった。
同じようにやってみたら美味しかった、という人が続出したのである。
この調理法はどんなカップ麺にも有効で、僕の名前をとって「中田法」なんて呼ばれるようになった。
中田法の生みの親である僕も、あれ以来何回か同じようにしてカップ麺を食べてみたのだが、どうも美味しくできない。
今夜こそ、ともう一回チャレンジしていると、妻がやってきて言った。
「ねぇ、あなた」
妻はとんでもないことを語り始めた。
あの日、初めて中田法でラーメンを作った時、僕が眠っている時にいたずらでカップ麺を美味しいカップ麺の中身とすりかえたそうなのだ。
つまり居眠りラーメン調理法なんてものはなかったである。
じゃあ……なんでみんなは美味しいと言っているのだろう。
バズり続けている中田法が、突然不気味なものに感じた。
僕はそれから普通の味のするラーメンを食べたが、味がしなかった。
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