生えてきた軍手

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 庭のお手入れをしている時、花壇に軍手が生えているのを見つけた。

 なんだろう……これ。

 誰かのいたずらだろうか。

 それにしても、なんだか変わった形の軍手である。

 引っこ抜いて持ってみると、すごく軽かった。

 へぇ……! こりゃいいや。

 私はその軍手をしながら庭のお手入れを開始した。

 すると娘がやってきて、軍手のことを聞いた。

「おかしな軍手」

「畑に生えてたのよ」

「畑に?」

「うん」

「……ねぇ、それ、未来人のものなんじゃない」

 またこの子は、突拍子もないことを……。

 娘は続けた。

「例えば、ワープかなんかしようとして、何かの拍子で軍手だけ時空と空間を飛んできたんじゃ」

「何言ってんのよ、もう」

 娘を追い払って庭のお手入れを再開した私は、まぁ、確かにこの軍手には底知れぬ何かを感じる、と思った。

 まさか、本当に未来から……?

 その疑念は、翌朝確信に変わった。

 朝、庭に出てみると、昨日軍手のあった場所に、手が生えてきていたのである。

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