「地球の実」というものがあると聞いてから、私はその実をずっと探し続けてきた。
地球の実を食べれば、不老不死の力が手に入るとも、人智を超えた力が手に入るとも言われている。
地球の実はこの地球上に一つだけなっていて、後にも先にもその一つしかならないらしい。
そんな実を私はずっと探し続けてきたのだ。
助手が「教授、ついにやりましたね!」と祝福してくれる。
私が唯一信頼して、この地球の実を探すために連れてきた男だ。
大樹に一つだけなる地球の実を、私はもいだ。
そしてその実をかじろうとしたその瞬間……目の前が明滅して、私はよろめいた。
と、地球の実を何者かに奪われてしまった。
何者か…………助手だった。
「教授。こんなことざわを知っていますか。”能ある鷹は爪を隠す”。教授はもう少し賢く立ち回るべきでしたね」
助手がそう言って地球の実をかじろうと口を開ける。
と、私たちの目の前を黒い風が通り過ぎ、助手の手から地球の実が奪われた。
見ると、実をとったのは、鷹だった。
鷹は信じられないスピードで飛んでいき、やがて見えなくなった。
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