ショートショート作品

働きたいお化け屋敷

 私は雲の上から、えいやと飛び降りた。  どうしても現世でやりたいことがあったのだ。  お化け屋敷で働いてみたい。それが私の数少ない夢だった。  生きている頃は勇気が出なかったが、何しろ今は本物の幽霊なのだからきっ...
ショートショート作品

天職枕

 漠然と、今の仕事は私の天職なのかな、と疑問に思った。  今勤めている会社は、いい会社である。  規模は小さいけど、みんな仲が良いし、働きやすい。  でも、もしかしたらもっと自分にあった仕事があったりするのかも、と...
ショートショート作品

注射忍者

 とにかく注射が苦手だ。  私は昔から予防接種などの注射を恐れてきた。  それなのに、また今年も予防接種の季節がやってきてしまった。  思わずため息をついた私に、友だちが言った。 「いいサービスがあるよ」 ...
ショートショート作品

マネキン占い

 最近、ハマっている占いがある。 「マネキン占い」だ。  会社の近くにあるビルの一階にアパレルショップがあって、その店のショーウインドーにマネキンが飾られている。  そのマネキンが着ている服の色で、一日の運勢を占う...
ショートショート作品

はちまき供養

 私の実家である寺では「はちまき供養の火」を焚いている。  はちまきを使い終わった後、そのまま捨ててしまったり、供養せずに放置したりする人がいるが、それは危険である。  はちまきには残留思念が残るのだ。  たとえば...
ショートショート作品

占いの鯉

 あぁ、行くの面倒くさいなぁ。さぼっちゃおうかな。  私は大学へ行くために駅に向かいながらそんなことを考えた。  今日は面倒くさいし興味のない授業があるのである。  駅へ向かう道の途中に、鯉のいる池があった。 ...
ショートショート作品

さすらうマネキン

 最近、私の勤めるお店でおかしなことが起きている。  ある日、私が出勤すると、一番目立つ場所に置いておいたマネキンの服が変わっていた。  同僚に「誰か変えました?」と聞いたけれど、誰も変えていないという。  そこで...
ショートショート作品

混ぜる書庫

 私が働いていた古本屋には、おかしな書庫があった。  ボロボロになって売り物にはならないが、捨てるにはもったいない本を書庫に入れる。  すると、いつの間にか書庫に入れた本が一冊の本に混ざっているのだ。  色々な本を...
ショートショート作品

にらめっこおじさん

 一時期、小学校でにらめっこが流行った。  そんな時、通学路の途中にあるバス停で、一人のおじさんが変な顔をしているのに気づいた。 「何をしているんですか?」  思わず話しかけた僕に、おじさんは「にらめっこの練習をし...
ショートショート作品

仮病のおばけ

「仮病で休むとおばけがでるよ!」が母さんの口癖だった。  そんな子供だましには乗らない、と私は時々仮病で学校を休んでいたのだけれど、ある日、本当におばけに出会ってしまった。  仮病おばけは、なぜか仮病で学校を休んだ時だけ現...
タイトルとURLをコピーしました