混ぜる書庫

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 私が働いていた古本屋には、おかしな書庫があった。

 ボロボロになって売り物にはならないが、捨てるにはもったいない本を書庫に入れる。

 すると、いつの間にか書庫に入れた本が一冊の本に混ざっているのだ。

 色々な本をごちゃまぜに入れると、おかしな本ができあがって面白い。

 私はいたずら心で、自分の日記とその頃読んでいたファンタジーを書庫に入れてみた。

 すると、私が魔法少女になっていて、ひとしきり笑ったのだった。

 数年の時が過ぎ、私は恋人を実家の部屋に招待した。

「アルバムとか、見ててもいいよ」

 そう言い置いて、私はお母さんが淹れてくれたお茶を取りに行った。

 私がお茶を持って戻ってくるなり、彼が言った。

「結婚しよう」

「え!?」

「ごめん、勝手に日記を読んじゃったんだ。その中に、魔法少女って……」

「あ、あぁ、それ」

 私はどぎまぎした。

 彼はあの書庫で混ぜた日記を読んだのだ。

 でも、普通、日記に魔法少女なんて書いてあったら引くよね。

 もしかして、独創性がある人間だと思われて、より好きになってくれたのかな。

 と、その時、私の体が一人でにふわっと浮いた。

 驚いている私に、彼が言った。

「実は、ずっと隠していたんだけど、僕も魔法使いの家系なんだ。僕たちなら、きっといい家庭を築けると思う」

 ……さて、どうしたものか……。

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