占いの鯉

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 あぁ、行くの面倒くさいなぁ。さぼっちゃおうかな。

 私は大学へ行くために駅に向かいながらそんなことを考えた。

 今日は面倒くさいし興味のない授業があるのである。

 駅へ向かう道の途中に、鯉のいる池があった。

 赤い鯉と白い鯉が泳いでいる。

 近くに餌売り場があったので、私はこの鯉で占いをしてみることにした。

 餌を一つ投げて、赤い鯉が食べたら大学に行く。白い鯉が食べたら行かない。

 願いを込めて餌を投げると、白い鯉が食べた。

 よし、行かない!

 私は授業をサボることにして、くるりと回れ右をして家に帰った。

 友だちに「今日、サボっちゃった。あとでノート見せてー。明日食堂おごるから」と連絡すると、友だちから「来なくて正解だよ」と返事があった。

 何かあったのかと聞くと、どうやら教授が体調を崩したとかで、自習になったらしい。

 じゃあ、どうせ行ったって意味なかったんだ! ラッキー。

 それから私は、色々な場面で鯉占いをしてみることにした。

 そして、占い通りに行動するとことごとくいい結果になったのである。

 面倒くさいと思っていた飲み会に行くことにしたら、飛び入りであこがれの先輩がやってきたり。

 そこで私は鯉占いを始めてみることにした。

 鯉の恋占いだ。

 友人やSNSの知り合いから相談を受け付け、鯉にどうしたらいいのかを占ってもらう。

 最初は「占い通りにしたらうまくいった!」と感謝され、人気も出たのだけれど、困ったことも起きたので結局私はすぐに鯉の恋占いをやめた。

 白い鯉が餌を食べたので「告白は思いとどまったほうがいい」と伝えても、結局行動してしまう人がいたのである。

 占いなんかで自分の気持ちを制御しようとしても、無理だよね。

 そう思ったので、私は占いをやめたのである。

 馬鹿なことやめて、大学の授業に専念しよう。

 そう思った私はたくさん買っておいた餌を鯉にあげた。

「あんたたち、あんまり食い意地張ってると、大きくなりすぎちゃうよ」

 そんな風に鯉に話しかけてから、鯉にアドバイスは不要か、と思い直して、私は大学に向かった。

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