ショートショート作品

鳴り男

 また、拍手が鳴っている。  みんな両手を叩いて喜んでいる。  しかしその拍手は、普通の人が考える拍手とは違う。  その拍手は僕を嘲笑する拍手なのだ。  僕は昔からおかしな体質の持ち主だった。 ...
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アイ・システム

 女性警察官として働いている私は今日も夜の街をパトロールしていた。  目の前の車に対し停止信号を送って道路脇に車を停めさせる。 「免許証を拝見」  私がそう言うと、ドライバーは面倒くさそうに免許証を取り出して見せた...
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べしゃり自販機

「やった……!」  私は社内食堂に設置された自動販売機を見て歓声を上げた。  この自動販売機は総務部に所属する私が提案をして設置してもらったものだった。  自動販売機を新しく導入するにあたり、私は普通の自動販売機で...
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待ち合わせロボット

 僕は大学でロボット工学の勉強をしていた。  卒業制作に班のみんなで作ったロボットには「ピピ」と名付けた。  ピピは班員一人ひとりの努力の結晶であり、初めて起動した時はみんなで飛び上がるほど喜んだ。 「しゃ、しゃべ...
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肩こり風船

「うぅ〜ん」  私はそんな唸り声のような声をあげながら肩を回した。  原稿を書かなければならないが、肩が凝りすぎてどうも集中できない。  またマッサージへ行こうか。いや、マッサージに行ってもすぐに凝ってしまうからな...
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お守りダンス

「おまえといると、なんか落ち着かないんだよ。ごめん」  何度聞いたか分からないそんなセリフでまたフラれた。  理由を聞くと「いや、本当になんとなくなんだけど、気味が悪いんだよ」との答え。  これもいつもと同じだ。 ...
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窓の記憶

 私は窓から外の景色を眺めた。  小高い丘にあるこの診療所からは島を囲む海がよく見える。  診療所で医者をしている私はこの窓から見える景色が好きだった。  あの海を見る度、私は「釣りに行ってみたいな」と思う。 ...
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弛緩ブラシ

 ビルの清掃員をしている私は今日もあるビルの清掃にやってきた。 「おはようございまーす」  ただの清掃員である私にも気さくに挨拶をしてくれるこの会社の人たちが私は好きだった。  自然と丁寧に仕事をしようという気持ち...
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猫日傘

 ある日、私の日傘に猫の影が映るようになった。  日傘をさしながら歩いている時にふと日傘の中を見上げたらそこに猫の影がいたのだ。  その現象はどうやら私の日傘だけではなく日本全国で見られたようで、猫好きな人間はみんな日傘を...
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スマホカーチャン病

 スマホが突然おかしくなった。  友達から送られてくるメッセージが「どうするの!」「明日大学行く!」といった感じになってしまう。  必ず最後が「!」になってしまっているのだ。  これは、あれだ。まるで母親からのメッ...
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