ショートショート作品

夢遊ゴミ捨て魔

 最近なんだかおかしなことが起こり始めた。  朝起きると部屋の物がなくなっているのだ。  確かにそこに置いておいたのに、というものがなくなっている。  どこに行ったんだろうと思いながら探すと、ゴミ箱の中に入っている...
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物忘れ草

 世界中で人々が一斉にくしゃみをし始めた。  その原因が、ある植物の花粉であることが後に判明する。  つまり新種の植物による花粉症だったわけだが、なぜ原因の特定に時間がかかったのか。  その理由は二つ。  ...
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またたく運命の糸

 隣町に、ある展望台がある。  女の子と二人、夜にその展望台に登って一緒に夜景を見るとその子との間に運命の糸が見えるらしい。  もちろん、そんなものがあるとすれば、だが。  僕は八月が始まったばかりの夏休みの夜に、...
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魔除けヨーグルト

 私は一人暮らしをしている部屋でヨーグルトの蓋を開けた。  これを食べるようになってからすこぶる調子が良い。  ただし胃腸が、という意味ではない。  このヨーグルトを食べるようになってから、幽霊を見ることがなくなっ...
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落とし物のしおり

 カフェでのアルバイトを終え、私が「失礼しまーす」とマスターに声をかけるとマスターが「それ持って行っていいからねー」と落とし物箱を指差した。 「持ち主の方、来ませんでしたか」 「うん、そうだね。もう半年以上経っているし、警...
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種植えアプリ

 朝起きると、ミサからメッセージが入っていた。  何かなと思いながらアプリを開くと、URLが貼られていた。  ミサはよく面白い動画やアプリなどを見つけるとそのURLを送ってくる。  私は目を擦りながらURLをタップ...
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幽霊の正体見たり枯れお鼻

 私のおばあちゃんは幽霊が"分かる"人でした。  見えるのではなく、分かる。  おばあちゃんは幽霊の匂いをかぐことのできる鼻を持っていたのです。 「幽霊さんが来たね」  おばあちゃんはいつもそう言っ...
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受付はお済みですか?

 最近、受付が増えている。そう思い始めたのはいつからだったか……。  町を歩いていると至るところで「受付はお済みですか?」と声をかけられている人を見かけるのだ。  声を掛ける側は女性が多かったが、男もいた。  そう...
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起業のお医者さん

  僕にはある事業のアイデアがあった。  そのアイデアは日々大きくなって行って、ついに僕は会社を作ろう、起業をしようと考えた。  そこで僕は信頼できる先輩に相談をしに行ったのだけれど、その先輩はこんなことを言った。 ...
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派遣ゾンビ

 僕は大学生としてはかなり異色なアルバイトをしている。  いや、大学生に限らずかもしれない。  僕のアルバイトは「ゾンビ」だ。  ゾンビとは数々の映画や漫画、小説などで描かれている、いわゆる歩く死体の化物だ...
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