昨日の夜中、目を覚ますと本が宙に浮いていた。
本はそのまま空中を漂って、それからガクガク震えだした。
私はびっくりして悲鳴もあげられなかった。
しばらくすると、本はすーっと本棚に戻っていった。
恐る恐る起き上がってその本を見てみると、どうやらそれはギャグ漫画のようだった。
もしかして、幽霊か何かがこの本を読んで笑っていたのだろうか。
そして昨日も、また本が浮いてブルブルと震えた。
今回の本は泣ける小説だった。
昨日は本を突然ドサッと落とした。
今日は片付けていかないなぁと思いながら、ふと、もしかして読んでいる途中で眠っちゃったのかな、と思った。
そりゃ広辞苑なんか読んだら眠くなるよ。
どうやら幽霊は漫画がお好みのようなので、漫画を買い揃えた。
幽霊はきままに漫画を読んでいるようだ。
最近気づいたのだが、幽霊は同じ漫画本を何度も読んでいた。
それはストーリーのある漫画で、どうやら続きが気になるらしい。
慌てて最新刊を買ってあげた。
そして昨日のことだ。
いつものように本棚から本がすっと抜かれて、幽霊が読み始めた。
するとその本がガクガク震えて、つぎにしーんと硬直した。
それから突然バサッと落ちて、幽霊の気配が消えた。
また辞書でも読んでいたのかなぁと思って本を拾い上げると、それは本ではなく私の日記帳だった。
どうやら、私が幽霊の存在に気づいていることを知って、慌てて逃げたらしい。
ということで、この日記のせいであなたは出て行っちゃったわけだけど、また戻ってきたらゆっくり本を読んでいってください。
あの漫画の最新巻も仕入れてありますから。
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