頻繁に竜巻が起こる国があった。
その国では、竜巻が起こった後に不思議な現象が見られた。
貝が落ちているのである。
やがてその国の人々は、竜巻はこの貝が起こしているのだ、と結論づけるようになった。
人々は竜巻の後に落ちている貝を集めて壊して回った。
すると、竜巻は減るどころか増えてしまった。
どうやらその貝は、竜巻を起こすどころか、吸い込んでくれていたらしい。
人々は、せめて残っていた貝だけでも、と貝を国中にばらまいたが、その貝を悪用する人間が現れた。
貝を割ると、その中から竜巻が現れるので、それを兵器として利用しようと考える人間が出てきたのである。
そこでその国はやはり貝を集めて捨てることにした。
しかしどこに捨てればいいのか。
結局、あるべき場所、海に還すことになった。
万が一竜巻が発生しても影響がない海域に貝は捨てられた。
臭いものには蓋をする人間の習性であった。
しかし、それから一年後、海際に住んでいる人々は異様な光景に怯えた。
貝が群れをなして帰ってきたのである。
そう、竜巻貝ではなく、竜巻やどかりとして……。
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