私はコヤギ博士の研究所にやってきた。
また新しい発明をしたらしい。
私が研究所に着くと、博士は言った。
「これは”星ノート”というものだよ。広げておくと星空が映るんだ。まぁ、星空の映像を、研究所にある映写機で紙に映し出しているだけなんだが、ね。君のところの娘さんは天体観測が好きだったよな。見せてやるといい」
私は博士に何度もお礼を言って、ノートを持ち帰った。
娘にノートを渡すと、「すごい!」と言って、夢中でノートを眺め始めた。
星空を見ることは星座を覚える勉強にもなるし、博士はいいものを発明してくれたな、と思っていた時。
娘が「キャッキャ」と楽しげな笑い声をあげた。
星空を見ているにしては、笑い転げるという感じだ。
私が「どうしたの?」と尋ねると、娘は「見てて」とノートを広げた。
すると、ぬぅっとコヤギ博士の顔がノートに現れたのである。
どうやら博士は、ノートにちゃんと星空が映っているか、心配になったらしい。
コヤギ博士の顔は、その後も幾度となく星空にぬぅっと現れ、娘と私を笑わせたのであった。
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