あるところに、タイムマシンマニアの男がいた。
男は生半可なマニアではなかった。
必ずタイムマシンを作り上げてやるんだ、という情熱を持っていた。
男は様々な文献を読み漁り、タイムマシンが登場する漫画や子供向けエンターテイメント映画なども見漁った。
男は日夜研究に励んだ。
そんな日々が十年近く過ぎて。
とうとう男は……タイムマシンを諦めた。
どうやっても実現できない。
男は放心した様子で研究所から外へ出た。
ふらふらと町に向かった男は、人々が見慣れないものを持っているのを見つけた。
子どもまで持っている。
男は一人の子どもに尋ねた。
「それはなんだい?」
「スマホだよ。おじさん、知らないの?」
男は子どもにスマホを見せてもらった。
「う、うむ。これはすごいな!」
男の様子を見て子どもが言った。
「ははは、まるで大昔から来た人みたい」
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