ある日、私は料亭で料理を食べていた。
料亭では尺八のような笛による音楽が振る舞われていた。
料理はとてつもなく美味しい。
噂では、この笛の音が料理の美味しさを何倍にも引き上げているらしい。
私は音楽を覚えて、家で吹いてみることにした。
尺八を買って練習してみるが、なかなか料理が美味しくならない。
そもそも料理の腕がいけないのだろうか。
私は練習に練習を重ねた。
尺八の腕はかなり上達したはずだ。
料理の腕前だって上がっているはず。
しかし料理は美味しくならない。
そんなある日、私は不毛な笛の練習をやめることにした。
友人宅に招かれ、料理を披露したところ、ものすごく美味しいと褒められたのだ。
どこでどう間違ったか、私の笛にはどんな料理もまずくしてしまう力が宿ったらしい。
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