仕事で疲れてふらふらと歩いていると、いつのまにかあたり一面バラ園になっていた。
あぁ、とうとう死んだのかな……。
しゃがみ込んでバラを触ろうとするけれど、触れない。
どうやらここに咲いているのは、バラの霊らしい。
それとも私が霊になってしまったのかな。
いつのまにかバラに囲まれて、私は動けなくなってしまった。
と、ある方向だけバラが消えて、道筋ができた。
そちらに向かって歩く。
すると、私はいつのまにか家の前に立っていた。
あれは不思議な体験だった。
あのバラ園があったのは、どのあたりだったか。
私は記憶を頼りにバラ園のあった場所に行ってみた。
行ってみて……愕然とした。
私がバラに囲まれたのは、崖の近くだった。
崖と反対側に道ができたから、私はまだこうして生きているのだ。
あの日のバラ園を、また見ることがあるだろうか。
そんなことを考えながら私はその場を後にした。
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