地下鉄の輪をくぐると、次の瞬間には目的の駅についていた。
今ではすっかりなれた。
私が今利用したのは「液化地下鉄」である。
液化地下鉄の駅に入ると、一度体が液化される。
そして液体のまま高速でパイプを通り、目的地の駅で再構築される。
最初は事故が起きたなんて言われていたけど、今ではみんな普通に使っている。
なにしろ一瞬で移動できるのだから。
便利は正義なのだ。
***
それから数十年後。
ある星に水が溜まっていた。
その星には地球からパイプが繋がれていた。
新しい居住可能な星であるが、人類は急いで地球から脱出した為、目的地の星の再構築装置が作動しなかったのである。
星が生命のスープで満たされていく。
この中からまた新しい生物が生まれるだろう。
元の文明レベルに戻るのは、途方もない年月がかかるだろうが……。
コメント