ある企業のマーケティング担当者が、あるエリアだけ異様に売上が高いことに気がついた。
訝しんだマーケティング担当者はさらに詳細に調べた。
このエリアには、コインランドリーに宣伝用のティッシュを置いていたはずだが……。
まさかそれが効果を発揮しているのか。
しかしそんな施策は他のエリアでもやっている。
なぜここだけ……?
さらに調査を続けると、どうやらそのコインランドリーに要因があることが分かった。
コインランドリーにある乾燥機は全部で五つだが、その全てが回っている時に、特殊な催眠効果が発生するらしい。
乾燥機が回っている状態の時にコインランドリー内にいる人は、その回転に魅入られ、強い催眠状態になり、その結果ティッシュの宣伝などに反応しやすくなるのだ。
しめた、と思った担当者は、そのコインランドリーに商品のポスターを貼るなどして、さらに売上を伸ばそうとした。
しかしどこからかコインランドリーの噂が漏れ、コインランドリーの中にあった乾燥機が警察により押収されてしまった。
***
それからしばらくして。
ここはある警察署内。
被疑者を取り調べ中の刑事が「おまえ、ちょっと、地下行くか」と被疑者に促した。
「地下? なんですか、それ。なんでそんなところに行くんですか」
抵抗する被疑者に対して、刑事がにやりと笑って言った。
「なんでもいいんだよ。全部告白して、からっとしちまおうじゃねぇか」
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