池の恋占い

ショートショート作品
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 私の家の近くには、小さな池があります。

 お姉ちゃんから聞いたのですが、あの池で恋占いができるそうです。

 目をつむり、好きな人のことを思い浮かべながら池に小石を投げると、普通「ぽちゃん」と一回だけ音がしますが、相手も自分のことを好きな場合は、「ぽちゃんぽちゃん」と二回音がするそうです。

 私はその話を聞いた次の日の放課後に、さっそく池に行ってみました。

 誰かいたら恥ずかしいなと思ったのですが、誰もいなかったので、さっそく私は恋占いを試してみることにしました。

 小石を手に取り、目をつむってから、幼馴染の翔太くんのことを思い浮かべます。

 それから小石を池の方に向かって投げました。

 ぽちゃん。

 音は一回でした。

 がっかりしましたが、もう一回やってみることにしました。

 ぽちゃん。

 音は一回。もう一回。

 ぽちゃん。

 だんだん悲しくなってきました。

 もうやめようかな。

 最後の一回にすることにして、私は小石を手に取り、目をつむりました。

 翔太くんのことを思い浮かべながら石を投げました。

 ……音がしません。

 あれ、おかしいなと思って目を開けると、目の前に虫とり網がありました。

 そして、すぐ横に、なんと翔太くんが立っているのです。

「さっきから何やってんの?」

 翔太くんは虫とり網で私の小石を捕まえたのでした。

「え、いや、なんでもない」

 私はしどろもどろになってしまいました。

 すると翔太くんは虫取り網の中の石を池に投げました。

 ぽちゃん。

 翔太くんはもう一つ石を持って、今度はそれを横投げで投げました。

 ぽちゃちゃちゃちゃ。

 石は水面を切って、音を立てました。

 前にも翔太くんと二人でここで水切りをして遊んだことを思い出しました。

 私も石を持って、翔太くんと同じように石を投げました。

 石は水面を一回大きく跳ね、ぽちゃん、ぽちゃんと二回音を立てました。

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