小狐

ショートショート作品

小説家の眼光

 一人の小説家がベッドに寝かされている。  部屋に白衣を着た男がやってきて小説家に向かって言った。 「今日の話はできたかね」  小説家は男の声に反応してぼそぼそと話し始めた。  それは一つの物語だった。 ...
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海底の利息

 ある一人の老人が、よく釣りに出かけていた。  沖釣りである。  老人は暇さえあれば釣りに出かけていったのだった。    そんな老人が亡くなり、遺産が息子に引き継がれることになった。  老人の弁護士...
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観察日記の勧誘

 暇を持て余した大学生、植田は公園のベンチに座りながら無為な時間を過ごしていた。  と、ボケッと座っている植田に一人の老人が声をかけた。 「あの」  声をかけられた植田はかったるそうに「はい?」と答えた。 ...
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予言者は知っていた

 俺はある予言者の取材をしていた。  その予言者は今世界中で注目されている予言者で、彼の予言は必ず的中するという噂だった。  ルポライターである俺はその予言者に同行し、彼を題材にした本を執筆しようと考えていた。  ...
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三十日までの宿題

「今日のカレーちょっとスパイシーだね」 「そう? いつもと変わらないルーなんだけどね」 「そうかな〜。いつもよりちょっと辛いよなー、ユウト?」 「そんなことないわよね〜ユウト?」 「ユウト?」  僕...
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演劇の息吹

 私の職業は演劇の演出家である。  長年、演出家として演劇を作り続け、名前もそれなりに有名にはなったが、なんだか今の現状に物足りなさを感じている。  そんな時、ボーッと見ていたテレビ番組から、私は突然次世代演劇の着想を得た...
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海風草

 ある地方に出張に行った時のこと。  その日は太陽がこれでもかと照りつける上に風もない日で、俺は汗を大量にかきながら道を歩いていた。  と、ある林の側を通ると、すごくいい風が吹いてきて、俺の汗を乾かしてくれた。  ...
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お金の出口

 ある男が資産家にアドバイスを求めていた。 「私はどうしても貯金ができないんです。どうしたらいいですか」  すると資産家が答えた。 「それはお金の出口があるからです。出口を塞ぎましょう」  もちろん"お金の...
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スイカ割り合唱コンクール

「あ、この曲懐かしい〜」  会社の同僚が社食のテレビを見ながら言った。 「この曲合唱コンクールとかでよく歌ったよね」 「う、うん」  私はそんな風に曖昧な答えを返す。  私は合唱コンクールの話題が出...
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ある殺人鬼の誤算

 ある殺人鬼がいた。  いや、正確には殺人鬼予備軍である。  その男はある人物を殺そうと計画していた。  計画は完璧で、あとは実行を待つのみ。  夜中、男は死体を埋める為の穴を掘りに山へやってきた。 ...
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