ショートショート作品

びいどろホテル

 俺はミサキを連れてこの「びいどろホテル」にやってきた。  このホテルにはある特殊な効能がある。  その効能とは「人間に化けているあやかしや幽霊などの正体を暴く」というものだ。  ホテルの部屋に一度入れば人間以外の...
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私の村には嵐が来る

 私の村には嵐がよくやってきた。  だがそれは普通の嵐ではない。  動物や虫などの嵐だ。  嵐がやってくると、村の見張り台にいる嵐守り(らんもり)がみんなに知らせる。  例えばよくやってきたのは「馬嵐...
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翻訳花粉

 世界中でおかしな花粉症が流行った。  その花粉症にかかると、話す言葉が勝手に英語になってしまったりフランス語になってしまったりするのだ。  急ピッチでリアルタイム翻訳アプリの開発が行われた。  アプリは程なくして...
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井の中の部活

 もう長いこと絵を描いていない。  かつて画家として生計を立てていた私は今や老齢年金をもらって細々と暮らす、どこにでもいる老人である。  人里離れた山の中で私は、毎日ただ過ぎる時の中に身を横たえていた。  あ...
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ぴえん証明書

 人間の悲哀を証明書として使える制度が誕生した。  悲哀証明書を提出すると、会社を休むことが出来たり、学校を休むことができたりする。  人間の活動をあらゆる観点から記録する自動ドローンにより実現した制度である。  ...
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天使の花畑

 引っ越したマンションから見える景色の中に、素敵な花畑があった。  いくつかのお家を隔てた先にある花畑はとても綺麗で、私はよくマンションの窓からその花畑を眺めた。  もっと近くで花畑を見てみたいと思ってその花畑まで歩くと、...
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夢中食

「ダイエットしたーい」  私が気の抜けた決意を口にすると、横に座っていたクラスメイトのユイが笑いながら言った。 「いいものがあるよ」  ユイがそう言って見せてくれたのは、カプセルだった。 「何これ?」 ...
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フリー間取りのお部屋

 僕はその日、一人暮らしの部屋を探しに不動産屋に来ていた。  希望の家賃と条件を不動産屋さんに伝えたのだけれど不動産屋さんは「うーん」とうなりながらパソコンに向かっている。  中々いい物件がないようだ。  僕はこっ...
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妄想布団

 私は小説家である。  私は「妄想風呂」を愛用していた。  元来、風呂に入ると妄想が捗るものだが、より深く妄想にひたれる入浴剤があるのだ。  しかし、その入浴剤が販売停止になってしまった。  妄想が捗りすぎ...
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廃ホタル

 私は趣味で「廃ホタル」専門の写真家をしている。  廃ホタルとは、廃校や廃病院なんかに現れるホタルのことで、普通のホタルとは異なる色彩で光る。  そんな廃ホタルの写真を撮るのが私は好きなのであった。  私は廃ホタル...
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