ショートショート作品

勧誘甘味処

 刑事の米倉はパートナーの木林と一緒に「甘味処」と書かれた店に入った。  二人は店のマスターらしき男にカウンターに案内され、腰をおろした。  テーブルの方がよかったのだが、予約されているという。  ここは、あらゆる...
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飢餓旋風

 昔、ある村で稲作農家が大打撃を受けた。  育てていた稲から米がすっかりなくなってしまったのである。  一体誰の仕業なのか?  まさか、いなごか。  すぐにその原因は分からなかった。  しかし調査の...
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くらやみ乗車券

 私は小さい頃から暗闇が苦手だったの。  そんな私に、兄が"くらやみ乗車券"というものを作ってくれた。  その乗車券を使うと、ベッドの中で兄がお話をしてくれるの。  私はそのお話を聴きながら、いつの間にか眠ってしま...
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物置のオルゴール

 幼い頃、物置で遊んでいる時に、一台のオルゴールを見つけた。  真っ黒なオルゴールで、なぜか細い糸でぐるぐる巻きになっていた。  糸を取り外し、ネジを巻いてみると、まだちゃんと音楽が鳴った。  それは聞いたことのな...
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過去電話

 過去に電話ができる電話があると聞いて、僕はある廃屋にやってきた。  その電話は夜じゃないとつながらないらしいので、夜に来たのだが、正直かなり不気味である。  それでも僕はやってきた。  過去に電話ができる電話が、...
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星ノート

 私はコヤギ博士の研究所にやってきた。  また新しい発明をしたらしい。  私が研究所に着くと、博士は言った。 「これは"星ノート"というものだよ。広げておくと星空が映るんだ。まぁ、星空の映像を、研究所にある映写機で...
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死人のルージュ

 私は金庫から口紅を取り出した。  この口紅は「死人のルージュ」と呼ばれている。  口紅の存在は警察内部の者だけが知っている。  数年前、警察署に一人の女がやってきた。  その女は殺人事件の被害者の妻だった...
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孫の手栽培の副作用

 コヤギ博士に呼ばれて、私は博士の研究所に向かった。  研究所に着くなり、私は度肝を抜かれた。  博士が畑で奇怪なダンスを踊っていたのである。  博士は両膝を深く曲げ、両手を忙しなく動かしている。 「は、博...
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新しい連絡方法

「それでは、コンペの結果については追って連絡します」  そう言われて、私はため息をついた。  またあれか。あれは苦手なのだ。  私は、あの最新の連絡方法が苦手だった。  電話だと言った言わないが発生し、メー...
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制汗幽霊

 私は昔から汗っかきで、いつも夏になると汗だくになって困っていた。  そんな時、"制汗幽霊"の噂を聞いた。  なんでも、幽霊を派遣して発汗を抑えてくれるらしい。  私はさっそく制汗幽霊の派遣会社にやってきた。 ...
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